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ナイトウォッチ

ナイトウォッチ

「運命の書」の
封印を解け!
人類の存亡をかけた
「異人」たちの闘いが、いまはじまる!
光と闇が交差する異色のバトル・ファンタジー
ロシア発
300万部の
超ベストセラー
遂に日本上陸!

  • 本屋で見かけ、なんとなく毛色が違う感じに惹かれて購入。本の作りからすると児童書寄りなのかな。YA系
  • ロシア産ファンタジー。属性の違う(光と闇)超能力者同士の世界を巡る戦い。もちろん舞台は現代のモスクワ。三部作の第一部のようだ。ロシアでは映画化されて大ヒットしたという。

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人形佐七捕物帳〈1〉嘆きの遊女 (嶋中文庫)

人形佐七捕物帳〈1〉嘆きの遊女 (嶋中文庫)

人形佐七捕物帳〈2〉音羽の猫 (嶋中文庫)

人形佐七捕物帳〈2〉音羽の猫 (嶋中文庫)

(一)
江戸に広がる、横溝正史の奇々怪々
人形のように美しい岡っ引き、佐七登場!
(二)
怪奇な事件の謎を追う佐七
遊女の死と飾り職人の失踪。金の爪が導く先には…

  • 渋いラインナップが続く嶋中文庫から、「人形佐七」シリーズが登場。買いそろえようと思っていた『銭形平次捕物控』もすでに十五巻まで出ている。「佐七」は何巻まで出るのか。全集にするなら十七〜十八巻くらいかね。

栄光への飛翔/エリザベス・ムーン

栄光への飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

栄光への飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

 突然、校長室に呼ばれた士官候補生カイラーラ・ヴァッタはいきなり退学処分を申し渡される。下級生への親切心があだとなり、軍艦の艦長を目指していたカイは茫然自失のまま、士官学校をあとにする。それを知ったカイの父親は、裕福な貿易商ヴァッタ家が経営する航宙会社の貨物船の船長を命じる。与えられた貨物船はおんぼろで、貨物を運んだのちは廃船となる運命だったが、カイはなんとか船を修復して自分のものに出来ないかと考え……。

 著者は話題になった『くらやみの速さはどれくらい』のエリザベス・ムーンであるが、本書は「くらやみ」とは全く違う傾向の、冒険ミリタリーSFであり、あとがきによればこちらの方が元々の作風だとか。
 なんとなく物足りなさはあったものの、楽しく読めた。夢を砕かれ挫折した主人公が、傷心旅行ともいえる気楽な旅に出たものの、生来の気質からトラブルに巻き込まれ、次から次へと困難に直面するが、これまた生来の打たれ強い性格から切り抜けていき、いつの間にか挫折感も薄まり、成長していくという、よくあるパターンの物語である。
 未熟な船長とは言え、ベテランのクルーに囲まれ、自立心旺盛に行動しているようで、実は父や一族の手の上にいる主人公だったが、事件が次から次へ起き、どんどんどつぼにはまっていき、一族の手の届かぬ場所にまで押し流されてしまう展開はなかなかスリリングである。
 物語の中には別れなども用意されているし、裕福な家のお嬢様とはいえ、本人の努力と能力が活かされる場面が多く、時には後ろ盾となる一族の名の力が及ばなくなる事態も発生し、一筋縄ではいかない。
 子離れできない過保護な父や、そんな父に反発し、一人の人間として認めて欲しいが、心のどこかでは父の庇護の下に戻りたい欲求もあり、その間で揺れ動く娘の心情が面白い。
 ただ、どうやら最初からシリーズものとして書かれたものらしく、いくつもの謎が解決されないまま物語が一旦閉じている点はちょっと不満。これだけのボリュームがあるのだから、すっきりさせて欲しい気はする。明らかなミスなどもあり、元々が長い話なのだろうか、まとまりを欠く部分もある。
 最近翻訳された次巻のあらすじを読むと、もっと大きな謎が物語全体を包んでいるようではある。(それにしても次巻のあらすじはネタバレにもほどがあるような。)
 物語自体は楽しく読んだ。が、気になったのは訳。主人公カイを含め女性キャラの「〜だわ」「〜よ」「〜だもの」「〜かしら」という口調。しゃべる時だけでなく、モノローグでもこの調子で違和感を覚える。特にカイの「あたし」という一人称や、「〜してた」「〜してくれてる」というような、い抜き言葉が気になった。蓮っ葉な感じか、逆に舌足らずな子供っぽさが感じられる。やんちゃなお嬢様らしさを演出したのだろうか。軍隊形式の訓練を受け、士官候補生だった人物が、目上の人物に使う言葉としてはおかしいような気がする。
 この言葉遣いの訳が違っていたら、カイという人物の印象がまた変わっていただろう。
(6)

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ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)

ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)

旅が始まる。
キングの圧倒的ライフワーク、ついに刊行開始!
キング自身による大幅加筆、新訳、
原書カラー口絵完全収録
全7部、2006年秋完結予定!

  • 角川から刊行されていたダーク・タワーシリーズが、本国での完結、加筆修正に伴い、新潮文庫として刊行開始。てか、角川版はどうなるんだろう。シリーズ全7部のうち、4部まで出ているけど。角川版で買い続けていたが、加筆修正版で全巻出ると聞いて、新潮文庫版も購入してしまった。角川版の1〜2巻の訳者は池央耿であるが、新潮版は角川版3巻以降を担当している風間賢二。てことは、角川版は4部で打ち止めか?
  • この新潮版には帯にもあるように、小説内にカラー口絵が挿入されている。全部で五カ所。あちらさんのイラストなので、アメコミ風。確か、本国ではアメコミの連載も始まるのではなかったか。それはともかく、このイラストはいらないなあ。キングから垂れ流される文字群にひたすら溺れていたいのに、イラストが出てくることによって、分断され、さらに自分の頭の中で構築していたイメージに余計な情報が加えられるようで。
  • ともあれ、キング・ワールドの総大成となる本書を、完結まで読むことができるのは嬉しい。新潮文庫のキング本の帯は首をひねることが多いが、この「旅が始まる。」は、ぴったしだね。


パイロットの妻 (新潮文庫)

パイロットの妻 (新潮文庫)

夫の操縦する
旅客機が墜落。
悪夢はそれに
止まらなかった――。

  • 訳者あとがきを引用すると、「人間の絆の崩壊とそこからの再生というすぐれて文学的な、切実なテーマを、サスペンスに満ちた、興趣豊かな語り口で描いた」とある。
  • タイトルだけを読むと興味が湧かなかった。原題通りの邦訳タイトルだが、ちょっと損をしているような気がしないでもない。なんとなくロマンス小説を連想させる。


時代小説―読切御免〈第3巻〉 (新潮文庫)

時代小説―読切御免〈第3巻〉 (新潮文庫)

  • 時代小説の読み切り短編を集めたアンソロジー企画第三弾、第四弾。一巻、二巻に続いて刊行。
  • 第三弾は「手練れの七人衆が夢の競演。(裏帯)」で、宮部みゆき高橋克彦、東郷隆、宮本昌孝杉本章子高橋義夫津本陽を揃えて「傑作ぞろいの全七篇(帯)」。第四弾は「名うての七作家が夢の競演。」で、藤沢周平宮城谷昌光北方謙三火坂雅志鈴木輝一郎佐藤雅美平岩弓枝による「名作ぞろいの全七篇」。
  • ついつい、お気に入りの作家ばかり読んでしまうので、アンソロジーは、(自分にとって)新しい作家を知る良い機会になる。加えて、私の場合、時代小説は傾向によって好き嫌いがはっきりしているので、色々な作家の短編が読めるのはありがたい。
  • 昨今時代小説が元気がいいせいか、こうしたアンソロジーものも多い。本シリーズの特徴は、各短編それぞれに物語の内容に合わせたミニコラムがついていることかな。

パートタイム・サンドバッグ/リーサ・リアドン

 1967年、ミシガンの小さな町で、誕生日を前にした老人が行きつけのバーで、誰か自分を殺してくれないかと言った。願いを叶えたのは、知的障害のある孫P・Tだった。その犯行をかばい、弟チャーリーは司法処置によりベトナムへ送られてしまう……。

 障害のある兄をかばう弟、というテーマに惹かれて読み始め、すぐに苦手なベトナム戦争が背景にある物語と気づいたが、既に兄弟と彼らを取り巻く人々の物語に引き込まれていた。
 ベトナムをテーマにした物語が好きではないのは、その現実が生々し過ぎることと、ベトナムへ送られた兵士と、帰還したあとの物語というのはどういうものか想像がつくからだ。だから、ここでこの物語で語られるベトナム戦争の意味について書く気はない。
 本書も酷たらしい戦時のエピソードと、帰還後PTSDに苦しみ、心も体も病み、居場所を失った若者のエピソードが連なる。
 容赦のない残酷な描写とその中で語られる美しいベトナムの風景、アメリカの片田舎のバーの生き生きした日常、そこに集まる人々の様々な感情と人間模様が折り重なって、淡々と物語が進んでいく。その乾いた筆致が大袈裟でないゆえに特殊な話ではなく、当時の空気として伝わってくる。
 そうした時代の中で、母親から弟の面倒を見るように言われ、自分の体を張って守ったP・T、その兄を守り続ける弟チャーリー、この兄弟の物語に、彼らに関わったバーの常連客の人生の物語が絡んでいく。
 兄の壊れた頭の中にある美しい魔法を、チャーリーは守ろうとする。それが、ベトナムから帰還した彼に唯一残された幸福であり、そして正常なものであることの皮肉、同じくチャーリーという存在が唯一の幸福であり、彼を守ろうとするジーノの行動の皮肉に胸が痛くなった。
 皆、優しく、愚かで、それゆえに残酷だ。守るために傷つけ、傷つけられる。傷つけられた者を誰かが守ろうとし、また傷つく。優しさと残酷さが連鎖していき、皆傷だらけになっていく。それでもそこに優しさがあるから、生きてゆける。切なく、やるせなく、ほんの少しのぬくもりが胸に残った。
 それはそうと、原文に癖があるのだろうか、センテンスが短いのはいいとして、語尾が全て現在形もしくは現在進行形で終わっている。気になり始めると妙に違和感を感じてちょっと苛々した。明確に過去を語っているシーンのみ、過去形になっているので、意図的なものなのだろうが。(7)

飛蝗の農場/ジェレミー・ドロンフィールド

飛蝗の農場 (創元推理文庫)

飛蝗の農場 (創元推理文庫)

 ある夜、郊外の農場に住むキャロルの家に、一夜の宿を求めて一人の男が現れた。翌朝、追い返した男は納屋にいて、恐れを抱いたキャロルは男をショットガンで撃ってしまう。しかし、意識を取り戻した男は記憶を失っていた。責任を感じたキャロルは男を看護する。二人の奇妙な生活が始まったが、どうやら男には謎があるようだった。

 視点が混線する目くらましのような不思議な冒頭に戸惑っているうちに、本筋の合間に挿入される別のエピソードが繰り返され、何が何やらわからず、そのため少々取っつきにくく、物語に入り込みにくい。
 が、中盤を過ぎて次第に物語の全体像がおぼろげながら見え始めると引き込まれ、後半はいったいこの物語はどこへ落ち着くのかと気になって、読むのがやめられなくなった。クライマックスあたりでは、久しぶりに禁を犯してラストの頁を確認したい衝動を覚えたほど。
 迷路を彷徨っているような感覚は、前知識が一切なく、何小説なのかさえ知らないまま読み始めたせいではある。あらすじを読んで、キングの『ミザリー』のような話なのだろうと想像していたが、全く違っていた。途中で、なんだ、何系小説だったのか、と気づいた気になるのだが、結局読み終わった今も何小説なのかわからない。
 主人公キャロルと謎の男の物語の合間に、ある人物の逃避行の物語が挟み込まれている。謎めいて、どこか幻想小説のようにも思えるその物語は時系列が逆になっている。本筋の流れとは逆に、挟み込まれている物語は時間をさかのぼっていく。その出発点に本筋の終点が交差する。
 特に目新しい構成というわけではない。けれど、万華鏡のように回転するたび現れる模様に驚くのに似て、使われているパーツは同じものだとわかっているがゆえに、その不思議さに魅了される。
 しかし、謎が多く残る。ちりばめられた模様が込み入っているからだろうか。模様に目がいき、パーツを見落としてしまったのだろうか。意味ありげなほのめかしや、シンクロしあうエピソードや符帳が引っかかり、放置された(或いは繋がりを見つけられなかった)伏線が気になる。物語を消化しきてれいないのか、読み違えたのか、落ち着かない読後感。
 読み終わってから、もしかしてこういうことなのでは?と思いつき、答えを求めて頁を返してみると、それではつじつまが合わない部分を見つけてしまう。様々な可能性を考えては頁を手繰ってみたが、そのどれもが矛盾している。
 この、何小説と判じられない原因となっている謎や不可解な齟齬に整合性を求めるべきではないのかもしれない。
 本来なら釈然とせず、物足りなさを覚えているところだが、不思議と「こういう物語」として納得している自分がいる。なんとなくわかったような気にさせられる(実際わかっているかはどうかはおいておいて)のは、物語の世界に引き込まれ、十分楽しめたからだろう。
 これが全て作者の計算なのか、新人ゆえの荒削りな作風なのか、判断はつかないが、どちらにしろ絶妙なバランスの奇妙で不可思議な世界に酔わされる。ただこのバランスは、読む人やその時の心理状態によっては崩れてしまい、悪酔いとなってしまうのだろう。(8)

消えた女

消えた女―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

消えた女―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

>> 版木彫り職人の伊之助は、妻の死を期に岡っ引きを辞めた過去がある。その伊之助の元へ、岡っ引き時代の先輩である弥八から、失踪したあと、助けを求める文を寄越した娘おようの行方を探して欲しいと頼まれる。おようの行方を追ううちに、伊之助はおようの奉公先で起きた事件と、内儀の不可解な行動を知る。どうやらその事件とおようの失踪は一つの糸で繋がっているようだったが……。