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よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

エミリーはクリスマスに消えた
間違えられた少女と怯える誘拐犯
凍てつく街の緊迫の48時間!
注目の新人の傑作サスペンス

  • タイトルと表紙に惹かれて購入。しかしタイトルと表紙から想像するイメージとあらすじを読んだ印象とで、何小説かいまいちわからない。解説によれば「誘拐小説」とのこと。ホラーやファンタジー要素はなさそう。
  • ところで、この本の解説は訳者でも評論家でもなく、編集部がつけている。しかも、ページ数の加減なのか、解説だけが1頁に二段組みというちょっと珍しいレイアウト。


復讐への航路―若き女船長カイの挑戦 (ハヤカワ文庫SF)

復讐への航路―若き女船長カイの挑戦 (ハヤカワ文庫SF)

ヴァッター一族惨殺さる!?
いったい誰が? またその目的は?
若き女船長は
真相究明と復讐を誓う!

  • 「若き女船長カイの挑戦」シリーズ第二作。あー、例によって一作目を読まないうちに勢いで二作目も買ってしまった。そして、もしやこの帯やあらすじは、一作目を読んでいない人間にはバレになるのかな?
  • 表紙は微妙。


彼らがあれほど優しく、そして
愚かでなかったら、どんなにか
ちがう人生があっただろう。
地獄のような現実に打たれつづけ、怒りと絶望のなかで
生と死の選択をする兄弟を描いた、涙の青春ノワール

  • この表紙は帯も含めてすごく良いな。奥田英朗の新刊『サウス・バウンド』の表紙上半分に似ているが。
  • 夏に創刊されたランダムハウス講談社文庫。今のところ、興味を惹かれるラインナップで、月に一冊は買っている。若干、価格が高めだが翻訳小説は売れていないらしいので、仕方がないか。


魔力の女 (講談社文庫)

魔力の女 (講談社文庫)

元恋人の魂を
宿す女と寝た
悪夢の夜!
キングもひれ伏す
濃密なサスペンス!

  • 「キング絶賛」は地雷が多いが、この本に限っては、元々好きな作家で新作が出ると購入している。
  • 650頁を超えているが、上下巻に分かれなくて良かった。最近、講談社の翻訳小説はそれほどの頁数でなくとも分冊されることが多いので。


遠花火 見届け人秋月伊織事件帖 (講談社文庫)

遠花火 見届け人秋月伊織事件帖 (講談社文庫)

人情あふれる
新シリーズ第1弾!
書下ろし
お江戸の
噂にゃ
裏がある

  • 文庫書き下ろしのシリーズもの第一弾。副題は「見届け人秋月伊織事件帖」とある。「見届け人」ってなんだろう。
  • 藤原緋沙子の時代小説を買うのは初めて。好みだったら、また読みたい本が増えるな。

地獄小僧/小杉健治

地獄小僧―三人佐平次捕物帳 (時代小説文庫)

地獄小僧―三人佐平次捕物帳 (時代小説文庫)

 岡っ引きの悪評に懸念を抱いていた北町奉行の同心井原は美人局の罪で捕らえた三兄弟の、それぞれ長所を組み合わせて「佐平次親分」という岡っ引きを作り出した。その頃、地獄小僧の異名を取る、大店ばかりを狙った極悪非道な強盗事件が連続し、井原は「佐平次親分」に解決させ、岡っ引きの評価を上げようともくろむ。罪を赦免される見返りとして、仕方なく「佐平次親分」となった三兄弟だったが……。

 ちょっと面白そうだと思っているうちに、シリーズ続編が出始めたので、読んでみた。
 岡っ引きとしては、頭脳明晰な長男平助だけがその能力を買われるが、岡っ引きの悪行が横行し、地に落ちてしまった評判を回復するためには、女性や子供も含め皆に愛される人物像でなければならない。しかし平助は内面はともかく顔立ちは凶相だった。
 そこで、腕っ節は弱く臆病だが、顔だけは役者以上の美貌を持つ三男佐助を「佐平次親分」の外見担当として立て、頭脳を平助が、力を巨漢の次男、次助が受け持ち、三人で一人の親分を分担するというアイデアが面白い。
 物語の中でもそれぞれの長所と個性が生かされていて、また、人目のある場所では末っ子が親分として振る舞い、長男、次男がその子分という役割からくる兄弟の戸惑いや葛藤も面白い。ぎくしゃくした力関係から、兄弟間の愛情も描かれている。
 平行して展開していく「地獄小僧」事件も、南町奉行や火盗改との駆け引きや諍いを絡めながらテンポよく進み、楽しく読める。ただ、ちょっと地獄小僧の正体を突き止めるくだりなど、釈然としない箇所があったり、雑な部分もあるように思えた。
 三人で一人の親分という設定の面白さ、シリーズものの第一作としてまとまりもよく、この先兄弟はどうなるのか、「佐平次親分」としてどんな展開が待っているのかという興味は起きる。
 ただ、親分の表の顔を担当する佐助が好きになれないので、続編を読みたいかと言えば、そうでもないというところ。
(5)

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比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

これであなたも
ウッドハウス中毒?
ぐうたらでダメ男の若旦那バーディーと、とんち男の召使いジーヴス。
世界的な有名なこの名コンビと、
オマヌケなビンゴやお節介屋のアガサ伯母さんたちが繰り広げる
抱腹絶倒の人間喜劇。

  • 『ボートの三人男』的な面白さを想像して買ってみたのだが、どうであろうか。


わたしが最も偏愛する作家の一人である
――殊能将之
ユーモラスなほら話、奇想小説、すてきな小品、
異国奇譚、不気味な話、ほろ苦くてセンチメン
タルな物語……
<変な小説>の宝箱。
唯一無比の異色作家アヴラム・ディヴィッドスン
ヒューゴー賞、MWA賞、世界幻想文学大賞
EQMM短編小説コンテスト第一席受賞!

  • 今回は全く知らない作家だが、揃えようと思っている奇想コレクションなので購入。
  • 既刊の中で、この表紙が一番好きだな。

爆笑問題が読む龍馬からの手紙

爆笑問題が読む龍馬からの手紙

「21世紀のニッポンは、どうなっちゅうぜよ?」
現存する坂本龍馬の手紙。
表現力にすぐれ、ユーモアあふれる全139通を、
爆笑問題が読破。
なんとそこには
<現代を読み解くヒント>と
爆笑問題の知られざる真実>が……。
章扉イラスト太田光
本邦初!
土佐弁テイスト現代口語訳付き

  • そのまんま、坂本龍馬の書いた手紙をネタに、例によって二人の掛け合い。時事ネタものは何冊か買って読んだことがあるが、有名人の手紙というのは面白いな。あ、そう言えば、「ダ・ヴィンチ」で歴史や事件をテーマにした連載があったっけ。
  • 爆笑問題」と言っても、著作物はほとんど太田が書いている(田中パートも含め)らしいが、この本もそうなのだろうか。
  • 章扉の太田筆のイラストはしりあがり寿みたいだな。

小説 SAMURAI7〈第1巻〉

小説 SAMURAI7〈第1巻〉

7人のSAMURAI、
再び――。
名匠黒澤明監督作品「七人の侍」をアニメ化し、大反響を巻き起こした「SAMURAI7」。
TVシリーズ全26話のシリーズ構成・脚本を手がけた冨岡淳広が、アニメ本編では語られなかった隠された真実、サイドストーリー、新たなエピソードも加えて書き下ろした[小説版]SAMURAI7。新しい物語が今、幕を開ける。

  • 上記文句は帯裏のもの。
  • アニメ本編が面白かったので買ってみた。各キャラの過去などは、ほとんど本編で語られていなかったので、追加エピソードがどの程度あるのか楽しみではある。で、始まりの第一行があれですか(笑)。
  • パラ見した感じでは、キャラの気持ちが文章化されているので、アニメではわからなかったシーンごとの心の動きが新鮮かな。
  • しかし、ちと高い。マニア向け価格? 全部揃えるとすれば、全七巻計7,000円か。うーん。
  • ついでに。小じゃれた装丁だが、何故に一巻にこのカバー絵(アニメのワンシーン)を選択したのだろうか。もっと、初巻を象徴するようなシーンがあるような気がするが。


文鳥様と私 7 (あおばコミックス 513 動物シリーズ)

文鳥様と私 7 (あおばコミックス 513 動物シリーズ)

  • コンスタントに面白い。
  • ナイゾウちゃんが心配。
  • 折り込みチラシに、愛蔵版刊行のお知らせが。1巻2巻を合本して「永久保存用豪華バージョン」。値段は1,100円だから、1、2巻を買うよりは安い。このシリーズ、紙質が悪いから、愛蔵版は良いものだと良いなあ。いや、買わないけど。買わないけどちょっと悔しいような気持ち。


ブックカバーの本―いろいろ素材、いろいろデザイン

ブックカバーの本―いろいろ素材、いろいろデザイン

  • ネット書店で見かけて購入したが、手芸の本だった。布や紙や毛糸などで作るブックカバーの本。昔、自分で簡単なカバーを作った事もあり、本を眺めているだけで、楽しい。
  • 以前は、本屋でもらう紙のカバーが好きだったが、布製のカバーを使うようになってからは、本屋でカバーをもらわなくなった。自前のものや、市販のもの、プレゼントでもらうこともあり、重宝している。
  • 最近は、文具類や雑貨店などでブックカバーを見かけるようになった。安くておしゃれなものも結構あって、ついつい買ってしまう。ネットでも色々な商品があり、誘惑される。

鷺の墓/今井絵美子

鷺の墓 (時代小説文庫)

鷺の墓 (時代小説文庫)

 書き下ろしの時代小説、五つの短編で構成されている。
 初めて読む作家で、作家歴が浅く、作品数もまだあまりない場合は、自分の好みに合うか合わないか、期待と不安と多少の警戒心を持ちつつ読む。
 一つ目の「鷺の墓」を読んだ時は、買ったのは失敗だったかと思った。しかし、二つ目の「空豆」、続く「無花果、朝露に濡れて」はとても良く、買って正解、この作家を知ることができて良かったと思った。四つ目「秋の食客」はまあまあ、そして最後の「逃げ水」が今ひとつという感想で終わったのが、ちょっと物足りなさを残した。
 しかし、多少の好き嫌いはあったものの、次に本が出たらまた買いたいと思わせる面白さとこの先の期待感があった。
 舞台は全て同じ瀬戸内にある藩内で、どの話もレールから外れた下級武士の悲哀が描かれた連作短編となっている。一つ一つは独立した物語だが、別の話の登場人物が顔を出したり、その後の人生や、事件の顛末が語られたりする。時間的にすぐ繋がっている場合もあれば、何年も前の話として出てくることもある。その繋がり方が自然で、しかもさりげなく、その構成の面白さも良かった。
 厳しい現実を描いていながら、基本的に暖かく、優しい眼差しを感じさせる。しかし、甘くなりすぎていないのは、この構成によるもので、一つ一つの物語の重なりが、奥行きを生んでいるようだ。
 どの話の登場人物も、恵まれない下級武士ゆえの貧乏暮らし、栄華に無縁で、はなから藩内の権力闘争の蚊帳の外にいながら、利用されたり巻き込まれたり煽りを食ったりし、武家社会の厳しさに苦しむ。あるいはその妻や母たちが翻弄され、揉まれる。その中でどう生き、受け入れ、折り合いをつけていくかを描くことで、幸せとは何かを問いかけているようだ。
 中でも「空豆」は物語自体も良かったが、そのしめ方が心に残った。どうなったのかということよりも、するどい切れ味を感じさせる終わり方に、又造の決めた生きざまが重なり、その鮮やかさに息をのんだ。
 次作が楽しみな作家が一人増えた。
(6)


 ところで、この文庫を買ったのは、表紙の雰囲気に惹かれたからだが、知らない作家の時代小説は割と表紙で買うことが多い。この本のイラストを描いている宇野信哉や蓬田やすひろは時代小説の表紙を多く手がけているが、書店で見かけると、つい手が伸びてしまう。ある意味、ラノベの買い方に近いかも(笑)。
 宇野信哉はイラスト集が出れば、買いたい。

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皇帝の血脈〈上〉 (新潮文庫)

皇帝の血脈〈上〉 (新潮文庫)

皇帝の血脈〈下〉 (新潮文庫)

皇帝の血脈〈下〉 (新潮文庫)

(上)
超弩級
スケールでおくる
フォルサム
5年ぶりの新作!
警察の
闇の掟が、
新米刑事を追いつめる!
(下)
滅んだはずの
ロマノフの血。
世界を巻き込む
陰謀がいま!
彼は
死者にあらず。
北の大地で死闘が始まる。

  • 新潮文庫で出ている既刊二作は両方とも絶版になっている。すると、面白そうだなと思ったら、取りあえず買っておこうかなんて思うわけで。


オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

強烈な魅力を持つ舞踊教師オリガ。
彼女はいったい、何者だったのか?
絶賛を博した感動の長編、文庫化!
Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

  • ノンフィクションではなく、小説。

手習重兵衛闇討ち斬/鈴木英治

 江戸に向かう途中行き倒れになった重兵衛は白金村で手習所の師匠を務める宗太夫に助けられる。人に言えない事情で国元を出奔してきた重兵衛は宗太夫に勧められるまま、居候し、村人や子供達と絆を深めていく。ところが、師匠の宗太夫にもなにやら秘密があるようで……。

 種類からすれば、剣豪小説になるだろうか。謎解きもあるので時代ミステリーとも言える。シリーズものの一作目。独立した話かと思っていたら、どうやら続いている。いや、独立しているといえばしている。
 というのは、主人公重兵衛自身の過去が断片的に出てきて謎めいたまま、解決を見ない。が、平行して起きた殺人事件についてはきちんと解決している。おそらく、重兵衛の謎についてはシリーズ中語られていくのだろう。
 ただ、続きを読みたくなるほど、はまれなかった。善い人たちに囲まれた善い人の話なので、ちょっと生ぬるい感じがする。特に、重兵衛は魅力的な人物として描かれているが、どうも何故そんなにみんなから好かれるのか、今ひとつ伝わってこない。
 むろん、善い人のようで、実はそうではなかったという人物もいれば、挫折を味わった者の屈折や悲哀のようなものもある。人間の負の部分も描かれている。
 が、基本的には簡単にできあがったように思える信頼関係と、暖かな人間関係の中で主人公が行動し、助け、助けられていく展開には、安心感はあるものの、惹かれるものはなかった。
 能ある鷹は爪を隠す的に、強いというイメージを積み重ねながらなかなかそれを示す場面が出てこず、じらされてからのラストの豪快な剣戟シーンは格好良くはあった。宗太夫にまつわる謎や事件については面白かった。ただ、謎解きに主人公はあまり関わってはいなかったような。
 やはり全体的に物足りなく感じた、というより合わなかったのだろう。
(4)

死体が語る真実/クレイグ

死体が語る真実 (文春文庫)

死体が語る真実 (文春文庫)

 法人類学者である筆者によるノンフィクション。ミステリ小説やドラマ、映画でおなじみの検死官について、漠然としたイメージしかなかったが、このノンフィクションを読めば、人の死体を調査する仕事はもっと細分化されていることがわかる。
 人体の軟らかい部分、皮膚や肉、内臓などを扱うのが病理学者で、骨を扱うのが法人類学者だという。従って、割とホットな死体の場合は病理学者が調べ、腐敗が進んでいたり、焼けこげていたり、年数が経って軟らかい部分から情報を得るのが難しいような死体の場合は、法人類学者が扱うことになる。
 著者は骨の専門家である法人類学者であり、それまでの歩みや、体験をまとめたものが本書である。
 正直、読み始めた時は、どうも著者が好きになれなかった。己の功績をより効果的に印象づけようとする書き方が自慢話臭く、それが結構ひんぱんに出てくるので鼻白んでしまった。
 が、読み進めるにつけ、まあその部分はその仕事の第一人者であり、男の多い職場でもまれてきた点を考えればむべなるかなと、この人の愛すべき所と受け入れることにして(本人も自己顕示欲の強さは自覚しているようで、その率直さに好感が持てる)、やはり経験談には引き込まれる。
 その辺のグロ描写のあるサイコ小説よりもずっとえぐい場面が連続し、そのすさまじさに、よくもまあこんな仕事ができるなあ、などと鳥肌立ってくるのだが、その語り口から、著者が心からこの仕事にやりがいを覚え、愛していることが窺えると、何故だかどのような悲惨な事件、事故、恐ろしい死体の話でも、興味を覚えてくる。
 科学者としてある部分、心を麻痺させた状態で死体に臨むために、――そうしなければ出来ない仕事だと頭では理解できても――場合によってはその冷静さやユーモアが冷たくも感じられるが、しかしそれ故に時折生身の人間の感情があふれ出してくる部分に胸を衝かれもする。
 全ての事件がすっきりと解決するわけではないが、死体と向き合い、語りかけてくる出来うる限りのものを聞き取ろうと、懸命に、時にはへこたれながら(時には自慢もまじえ)、挑み続ける博士の奮闘ぶりは読み応えがある。
 しかし、なんと言ってもこの本の魅力は、事件現場の調査や検死場面の丁寧な描写、情報を見つけだすまでの過程にある。事実は小説より奇なり。いや、これが事実だからこそ、恐ろしく、そして面白いのだろう。